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2025年12月11日(木)に、TANABEESオンライン研修②が開催されました。
オンライン研修は平日の夜に行われましたが、活発な意見交換ができた時間でした。
プロジェクト名:田辺市主催関係人口創出プログラム「TANABEES」
活動地域:和歌山県田辺市
実施期間:2025年10月〜2026年2月(予定)
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

本会は、TANABEESプロジェクトを進めるにあたって、地域外からの参加者が田辺市という地域、そこで暮らす人、暮らしなどを掘り下げるための回として行われました。
今回の講師は3名。地域外から田辺市の本宮町に移り住んだIターン者の金哲弘さん、一度地域外へ出た者のもう一度帰ってきたUターン者の山田かな子、そして、地域外から田辺市とかかわりを持ち続け、関係人口として関わっている岸本新一さんです。
講座のタイトルは「自分と田辺」。開催方式は、Zoomでのオンライン会議です。
本講座は講師からお話を聞いたのち、TANABEES参加者の価値観を整理し、アウトプットする流れで行われました。
講師3名それぞれが「自分が田辺と関わる最初のきっかけ」について語りました。
金さんは、都市部での子育てに退屈さを感じていたところに紀南地方に滞在するきっかけがあったそうです。妻が先に田辺市本宮町への移住を決め、ご自身も1年近く県外から地域に通いました。その中で、本宮に対して居心地の良さや人とつながることの心地よさを感じ、恩返ししたいという思いで移住されたそうです。
Uターン者である山田にとっての田辺の関わりしろは、「田辺でつながるすべての人」。コロナ禍にたなべ未来創造塾のオブザーバー参加がきっかけでそう感じたそうです。
岸本さんは、田辺市の関係人口プログラム「熊野REBORN PROJECT」がきっかけで田辺市とつながり始めました。今も足しげく通い、田辺市の山を歩き、熊野周辺地域とのつながりを続けています。
TANABEESに参加している皆さんも、田辺と関わっている状況は同じ。それぞれの視点や捉え方がひとつの種類ではないと改めて認識できました。
続いて、今も田辺に関わり続けている3名が、地域と関わるために何を大事にしているのかをお訊きしました。
移住者はずっと移住者の立場を忘れないことが大事とのこと。あくまでも地域の主軸はそこに根付いている地域住民で、その人たちの目線を大切にしたいと、金さんは語りました。この前提があれば、地域住民と移住者の間に壁を作らないために、移住者をゆっくり受け入れてもらうための行動が自ずとできるようになると考えているようです。共生するためにはバランスが必要ということです。
Uターンの経験からは、その土地にいなかった年月も住んでいた人がいたことを意識しているとのことでした。自分の知らない間の歴史や人の生活があって今がある事実にも目を向けることに価値があるというわけです。
関係人口の位置づけにいる岸本さんも、「地元民あっての街」と強調しています。関係人口としては「客」の立ち位置だそうです。地域の外側から見て、変わりゆく姿を楽しませてもらって、そこにいる住民を喜ばせたいと語っていました。
3者の共通点は、地域は地域の中の人のためにあるという意識でした。地域外からの風を吹かせていくことももちろん尊重される場面があるでしょう。しかし、「誰のために」の視点が欠けてしまうと、地域を軽んじることにつながりかねません。「地域を尊重する」とは、地域の人に思いを馳せることなのです。
最後に3名に尋ねたのはややネガティブな経験。どんなことに困難を抱えたのでしょうか。
Iターンしてから金さんが体感したのは、新しいものを受け入れるのにとても時間がかかる「地域性」。何かを受け入れてもらうには、少しずつ少しずつ人の心をノックし続けて扉を開けてもらうのを待つ姿勢を貫いているそうです。
Uターン経験もそれに似ており、自分がやりたいことを理解してもらうことが難しいようです。説明するよりも結果を見せた方がわかりやすいため、結果を残し続けることも必要とのことでした。
関係人口としては人と関わるのが肝だそうですが、岸本さんは外国人とのコミュニケーションに困難さを感じたことがあるようです。観光地ゆえのテーマですが、関わりを持ちに来ている以上は、語学力を身につけて行きたいと語りました。
Iターン視点の目標は、本宮に雇用を生み出すことだそうです。帰ってきたいあるいは、住みたい場所にするためには、稼ぎ方の選択肢を増やすことが先決だと金さんは考えています。
Uターン者としては、地域外の情報や視点を取り入れつつ、地域と地域外をつなぎながら住み続けたいとのことです。
一方、田辺に住んでいるのではなく、通っている立場の岸本さんは、田辺に行きたいと思う人やそのきっかけを増やしたいそうです。そのために自身が「田辺のいいところ」を知ることにつながるため、知る・伝える・連れてくるの好循環が生まれていると語りました。
今後、どのように田辺と関わろうかというのは、TANABEESの参加者も考えていきたいテーマです。立場として近しいところにいるのは、関係人口である岸本さんですが、将来的にIターンやUターンも選択肢があるともいえます。
田辺の地域住民であるTANABEESの地域プレイヤーからは、町内会などの地域コミュニティに入っていき関係性を構築するためのポイントについて、移住者の金さんにしつもんがありました。「めんどうだけど、ありがたいと思ってもらえることを進んでやると、人は見ている、人から名指しで指名されるようになるのが理想」との回答でした。これは地域外・地域内にかかわらず、人とつながりを持つ上で支点となる考えだと感じます。
TANABEES参加者から岸本さんへの質問にも、「関係人口から住民になるのか?」との質問が投げかけられ、「関係人口」の立ち位置に関心が高いことがうかがえました。「現状は住まずに関わる選択をする」との回答でした。自身にとってどうあるのがいちばん心地よい選択になるのかを考える時間になったのではないでしょうか。
TANABEESに参加している皆さんは、田辺市に関わる中で田辺市という土地や人などと、自分自身の位置づけを考えながらプロジェクトに携わっています。
実際に土地の中にいる様々な肩書を持っている人と話してみると、参加者の皆さんが自分の位置づけや田辺と関わる中でのアイデンティティを再確認したような意見が多数上がりました。
今ある価値観と新しいものが混ざり合うことに遠慮や躊躇、壁を感じることがあっても、プラスに行動していく姿勢が大切です。今後に向けて、それぞれがプロジェクトと関わる自分と他者のあり方を知覚した上で、方向性を定められたようでした。
次回は、オンライン新年会の予定です。1月5日(月)、Zoomミーティングにて行います。